金銭におけるリスク
トラブルの大きな原因となる項目のひとつが、金銭面でのリスクです。依頼していた当初の予算を大幅に超える金額を請求される可能性があります。
システム開発の分野では、製造における部品代のように、前もって設定された金額の幅がはっきりしないのが実情です。そのため、プロジェクト開始後に仕様の変更や機能の追加の依頼をすると、想定していた予算を超えてしまうことがあります。これに加えて、開発を始めてから予定通りに進まず期間が延びたりすると、開発側での工数が増えてしまうため、コストがかさみます。
金銭面でのリスクが原因で裁判となった事例として、開発会社側(原告)がユーザー側(被告)へ請負代金の約5570万円を請求したケースがあります。ユーザーは当初、別の開発会社に「現行のオフコンから新機能を追加したパソコンへ書籍在庫管理システムの導入をしたい」と依頼したものの、思うように開発が進まず本件の開発会社へ発注を依頼します。
その後、ユーザーは検収段階で現行オフコンに実装されていた個別出版社プログラムがないことに気付き、その機能の追加を要求しました。それを受けて開発会社側は追加開発を行い、請負代金を加算して請求しました。しかし、ユーザーは本機能が開発業務範囲に含まれるとし、追加費用を拒んだため、提訴することとなったのです。
これらは、あらかじめ追加費用に関する契約を交わしていれば、トラブルに発展することはありません。しかし、契約を交わすことなく仕様変更や追加の依頼をしてしまうと、プロジェクト終了後には「予算をとうに超える金額が請求されていた」といったことが起こりえます。
このように、追加費用の認識が異なることで訴訟に発展することも少なくありません。アウトソーシングでシステム開発を行う際は、追加費用に関する契約もしっかりと確認することが大切です。




